団塊の来し方行く末

昭和22年団塊世代。 緑内障が進行し、誤字脱字・誤変換が多いブログですが、ご容赦ください。 オーディオ好きが高じて、定年後に音楽喫茶を開店して11年です。 ジャズ・オーディオ雑誌にも何度か掲載された音の良い隠れジャズ喫茶でしたが 2020.3月に閉店しました。長年のご愛顧に感謝申し上げます。

カテゴリ: 国際政治

「愚策に次ぐ愚策」 亡国の中国と日本

中国の習近平体制下で、言論・出版・報道の思想統制が厳しく規制されだしたという。国家機密防衛と称するスパイ法で、アステラス製薬の50歳代の日本人男性が、「反スパイ法」違反の容疑で逮捕された。それもこれも、共産党一党独裁体制の維持のためだという。

共産主義がこのようなドグマに陥るとは、マルクスも予言できなかった。共産主義は、もはや社会科学ではなく、一種の聖典となり、習近平は唯一絶対の共産宗教の皇祖になりつつある。このまま中国が共産党独裁国家を維持すれば習近平は、現代のムハンマド(メッカに生まれ、神アッラーの啓示を受けてイスラム教の伝道を始めた唯一絶対の伝道者)と永遠に讃えられるだろう。神を否定する共産主義が、自ら唯一絶対の神の予言者として君臨するざまは、論理破壊したカルト集団に見える。

昨日の報道で知ったが中國では、明朝最後の皇帝崇禎帝(すうていてい)を題材に、9月に再出版された「勤政的亡国君(勤勉な亡国の王)」が、事実上の出版禁止となり、ネット検索もでき案くなった。おかげで、古本が数十倍で売れているという。

この本は、201612月に第1版が「崇禎往事」との書名で出版されたが、改訂に当たり題名と、本の宣伝帯が、習近平批判と当局の検閲に掛かったとされている。なんせこの国は、秘密主義なので出版禁止の理由は明かされない。

宣伝帯には、「愚策に次ぐ愚策、勤勉な王ほど国は滅びる」とあり、これが習近平を揶揄する政治批判だと、取り巻き連中が忖度したのだとウワサされる。本の内容は、今年5月に死去した歴史家の陳梧桐に揺る歴史小説で、17世紀の明の滅亡に至る過程を描いている。

崇禎帝(すうていてい)は、明の最後の第17代皇帝。崇禎帝の時代は、北に満州族の後金が侵攻し、南では李自成の反乱が多発した時期だった。崇禎帝は、政治に熱心であり、色事にふけることもなく、倹約を心がけていた。しかし猜疑心が強く、臣下を信用できない悪癖を有していた。即位直後から重臣を次々と誅殺し、在位17年の間に誅殺された重臣は総督7名・巡撫11名、罷免された者も多数あり、重臣達の士気の低下を招くこととなった。

明王朝の最後は哀れである。崇禎17年(1644年)、農民を武装蜂起させた李自成の乱により北京は包囲され陥落した。崇禎帝は息子たちを紫禁城から脱出させ、側室と娘たちを自ら手にかけて殺害した。反乱軍が北京を包囲すると、宦官・文武百官全てが崇禎帝を見捨てて李自成軍に降伏し、宦官の王承恩のみが崇禎帝のもとに駆けつけた。崇禎帝は、紫禁城の北にある景山で首を吊って自殺した。王承恩も皇帝の隣で首を吊って殉死した。

「愚策に次ぐ愚策、勤勉な王ほど国は滅びる」は、明王朝の最後を伝える史実だが、習近平の側近は、政治風刺と受け止めた。裏を返せば、習近平の政策が「愚策に次ぐ愚策」であると認めるものである。

中国は、共産主義による統制経済が限界を超え、もはや自由主義経済のサプライ・チェーンから除外されだした。生産拠点は、雪崩を打ってタイ・ベトナムに移行されだした。もはやいくら誘致政策を行おうが、政治リスクを恐れる欧米企業が中国に拠点を設けることはない。台湾のIT企業も、中国の侵攻リスクから熊本に拠点工場を新設している。情けないが、台湾より日本の賃金が安いこともある。中国政府の幹部や富裕層は、カナダ・アメリカ・オーストラリアに拠点を移し、息子たちを欧米に留学させ、市民権・永住権を取得させている。日本の都心部のマンションも、中国人が投資と、いざという時の退避用に購入している。

習近平は、愛国主義教育に力点を置いているが、ネット社会のなかで、情報は筒抜けである。日本の魚類輸入禁止も、国家扇動で行われたが、海外からの情報が拡散するにつれ鎮静化し、観光客も戻っている。日本近海の中国漁船は相変わらずだし、中国の二枚舌政策は、世界のもの笑いされている。
愛国教育は、情報を持たない貧民層には浸透するだろうが、高等教育を受けた若者には通用しない。統制が厳しくなればなるほど、優秀な人材の国外流出が進み、中国の没落が加速する。もはや習近平の共産主義経済政策では、没落に歯止めはかからない。さすれば習近平は、国内不満を海外に転嫁し、緊張感を煽る愛国精神の高揚に走る。台湾有事のリスクは高まるだろう。特に、パレスチナとウクライナの戦闘が長引けば、アメリカは台湾まで手が回らなくなる。虚を突いて、中國が動く可能性も高まるが、外相・国防大臣の相次ぐ失脚で習近平政権の立て直しに時間がかかりそうだ。軍部の上層部の腐敗も露見し、軍隊の士気を落ちている。しかし実態が見えにくい国なので、一寸先は予見できない。

対岸の火事と見下したいところだが・・・・足元の岸田内閣も「愚策に次ぐ愚策」、減税政策など愚の骨頂である。なぜなら財政規律などハチャメチャである。国債が増える一方なのに、借金を踏み倒し、税収が増えたので国民に還元すると愚民政策でゴマ化そうとする。日本国民はバカじゃないから、岸田の支持率は3割を切り、6割近い不支持率である。だが立憲の泉健太に期待する声もないし、自民党にも人材がいない。こんな無責任国家が国際的に信用されるだろうか。中国も日本も、債務超過のデフォルト国家には変わりない。

右の頬を打たれたら・・あなたは?

日曜のフジ THE PRIMEでは、レギュラーの橋下徹とゲストの櫻井よしこが不毛な議論で対立していた。この二人、何れも好きになれないが、似た者同士だが犬猿の仲に見える。話は、イスラエルのガザ攻撃が許容できるか否かであった。櫻井よしこは、イスラエルの攻撃は『自衛権』に基づき正当であるとする。橋下は、国際法に基づき一般市民を巻き添えにする攻撃は許容できないと、しつこく主張する。紀元前4世紀の中国戦国時代の荘子は、このようなくだらぬ議論を『蝸牛角上の争い(かぎゅうかくじょうのあらそい)と云った。

いいかげん、うんざりして関口宏のTBS「サンデーモーニング」に切り替えた。この番組は、見識あるコメンテターが持論を述べるが討論会ではない。議論が深掘りされないので物足りないが、関口がコメントしないのが長寿の秘訣かもしれない。また橋下や櫻井よしこのような偏向人物は呼ばれることはない。それがこの番組の見識である。

来年3月に関口は引退し、元NHKアナウンサーでTBSテレビ専属契約の膳場貴子に代わる。関口の語り口に不快感を持つ方も多かったが、大学の先輩でもあり、長寿番組にしがみつつくことなくご苦労様といいたい。みのもんた・徳光・古館など一線を去り、立教卒の看板がまた消えた。長嶋一茂では物足りないが、まあいいか。

所で橋下と櫻井よしこの不毛な激論に、私がうんざりしたのは、議論のポイントがあまりにも非現実的で浮世離れしていたからである。

そもそも戦争に大義や正当性はあるのか?サマスがテロ組織であり、国家ではないと規定したところで問題は解決しない。しないばかりか、西欧のキリスト教国家がイスラエル支援をだせば、パレスチナ国家はますますサマス支援で団結する。

サマスは国家ではないが、事実上のガザ地区の実効支配者で地下トンネルで武装化されている。今回の紛争は、突然に戦争布告もなく、数千発のミサイルを撃ちこんだことから始まった。

実行犯はサマスだが、裏で弾丸を供給する黒幕がいる。イスラエルが、ガザ殲滅作戦を行おうが、黒幕の思う壺である。サマスなどイスラムのジバードの捨駒だから、殲滅は織り込み済みである。むしろイスラム過激派は、西洋諸国に無差別自爆テロ攻撃を活発化させるだけである。今回のサマスの挑発攻撃は、世界をテロの恐怖に巻き込むことが、黒幕の真の狙いではないか。

櫻井よしこみたに、イスラエルの自衛権の正当性を叫ぶのは愚の骨頂。イスラムにはイスラムの聖戦の正当性があるからだ。宗教上の対立は、昨日今日の話ではない。極論すれば、いづれかの宗教が地球上から消えない限り殺し合いは続く。しかもユダヤ教もイスラム教も、世界一の戒律を守る敬虔なる信徒集団である。例えば両宗教共に、厳しい禁欲と食事の戒律、断食が課せられている。

イスラムが取るべき五行には、①告白(シャハーダ)、礼拝(サラー)、⓷喜捨(ザカート)、④食(サウム)、⑤礼(ハッジ)、これに、ジハード(努力・聖戦)が加わる。これは、宗教の戒律であると当時に法律でもある。基本的人権や個人の尊厳よりも、神への忠誠心が最優先される世界観である。橋下の説く国際法など通用しない。

『目には目を、歯には歯を』は、アラブ・パレスチナ・ヘブライに共通する遊牧民の基本法と言える。

マタイ福音書5-38には、『目には目を、歯には歯をと言われていたことは、あなたがたの聞いているところである。しかし、わたしはあなた方に言う。悪人に手向かうな、もしだれかがあなたの右の頬をうつなら、ほかの頬をも向けてやりなさい。あなたを訴えて下着を取ろうとする者には、上着をもあたえなさい。』とある。アメリカをはじめとするキリスト教国家が、イスラエルの自衛権を擁護するのは、キリストの教えに反するのではないのか。私は何もできないが、イスラエルの自制を神に願いたい。

ハマスの陰にプーチンあり

パレスチナ自治区ガザ地区を実効支配するハマスは、107日にイスラエルに越境攻撃を仕掛けた。寝耳に水の攻撃で、怒り狂ったイスラエルによるガザ殲滅攻撃が始まっている。

財力も武力も劣るハマスが、なぜ大規模攻撃を行ったのか理解に苦しむ。大量のロケット弾を供給できるのは、イランしか頭に浮かばない。イランの砲弾供給は、ウクライナに苦戦するロシアへ間接支援だと私は睨んでいる。イランの最大の敵国はアメリカであり、最大の友好国がロシアとハマスだと言われている。

一方でアメリカにとって、ウクライナ支援よりイスラエス支援が優先政策である。ここでイスラエルとパレスチナが第三次中東戦争となれば、アメリカの武器支援は二股に割かれることになる。トランプ共和党は、声高にウクライナ支援を停止し、イスラエル支援を優先せよと騒ぎだした。

ロシアの思う壺である。私は、イランとハマスの尻を叩いたのは、ロシアの情報部の仕業だと思っている。ロシアにとって、ガザ地区の住民が皆殺しにされても捨て駒である。プーチンには人道なんて存在しない。戦闘が激化するほど、ウクライナへの関心が薄れ、アメリカがウクライナから撤退すれば、プ―チンは息を吹き返す。哀れなのは、ロシアの策略に踊らされたハマスである。

西側諸国に求められるのは、一丸となって、イスラエルの報復攻撃を止めさせ、停戦させることである。もしもロシアがウクライナに勝てば、ロシアはますます軍事強国となり、狂人プーチンは、ウクライナ支援を行った日本を含めた西側諸国に仕返しするに違いないからだ。プーチンは陰湿な男である。アホな鈴木宗男がゴマすたって、助けにもならない。

日本人は、ハマスとイスラエルの戦争を対岸の火事と気楽に考えてはいけない。世界はつながっている。ロシアがゾンビの如く生き返えれば、北朝鮮も中国も頭に乗って、極東にも飛び火する。中東戦争が拡大すれば、アメリカの第七艦隊も中東応援で手薄になる。トランプ共和党は、極東の日韓よりイスラエルのほうが重要なのだ。そこでチャンスとばかり、北朝鮮が攻撃に出ないとも限らない。

プーチンにとり、ウクライナ戦線が手薄になればなるほどありがたい。北朝鮮の金正恩をおだて挙げ、朝鮮戦争が再開すれば、米軍は動かざるを得なくなる。中国も義勇軍を送り込む。台湾攻撃も行われる。沖縄だって、過去は中国の冊封体制下(属国支配)に入っていた時代があったから、中国領土だと云いかねない。首里城の守礼門は、中國皇帝の遣使を琉球王が土下座して迎い入れるための中国風の門の名残である。

金正恩は裸の王様だから、陰謀に優れたプーチンから見れば、ガキを手玉にとるのは簡単。金正恩が、いつハマスのように攻撃してきても不思議ではない。日本も油断は禁物。イスラエルをなだめる手立てはないもののか。

プリゴジンの乱の今後は

ロシア・サンクトペテルブルクのヘリポートでワグネル創設者のプリゴジンらしき男性が目撃された。このヘリポートはプリゴジンが関係するホテルの近くにあり、ヘリも関連会社の所有だという。ベラルーシのルカシェンコによれば、27日、プリゴジンが同国にいると認めていた。だが、プリゴジンのビジネスジェットは、27日朝にベラルーシの首都ミンスクに到着したが、夜にはロシアに戻っていた。また629日、英国防省は、ワグネルの部隊が、空中の司令部機能や無線中継を担うロシア軍機イリューシン22M24日に撃墜していた可能性を公表した。

プリゴジンのワグネル部隊は、プーチンに降伏したものでも、武装解除したものでもないようだ。依然としてミサイルなど武器弾薬と物騒な殺人集団が解体されず、プリゴジンの指揮下にある。

プーチンの盟友から獅子身中の虫となったプリゴジンは、なぜロシア国内を自由に行動できるのか。ビジネスジェットで飛行するプリゴジンなど、その気になれば簡単にミサイルで撃ち落とせるはずである。

プーチンはワグネル部隊の解体と、主だった指揮官を反逆罪で逮捕し獄門に晒す気でいるが、間に立ったルカシェンコの顔を立てて、当面は不問に伏すとしている。だがプ―チンの陰湿な残忍さはプリゴジンが一番よく知っているはずだ。プリゴジンやワグネル指揮官が易々と武装解除に応じるとはおもえない。武装解除して降伏したとてに死は免れない。どこに逃げても暗殺される運命である。

プリゴジンは、いわば指定暴力団の親分のようなものだからワグネル部隊を何としてでも温存しないかぎり、プーチンから我が身を護ることはできない。さすればどうするのか。プーチンの正規軍に対抗するためには、民衆を扇動したパルチザンとなり、プーチン政権の転覆をはかる仁義なき戦いしか生きる道はない。

ロシアの内乱が拡大することは、ウクライナ戦争の終焉を意味する。NATI]やアメリカの秘密情報機関が昨日の敵であるプリゴジンのワグネルに密かに手を貸すことは十分にありうる。ロシアの民衆が蜂起し、ロシア国民の手でプーチンを失脚させることが、最も理想的な戦争終結の道だからだ。

私なら大悪党のプリゴジンをおだて挙げ、内乱化させ、ロシア正規軍とワグネル部隊の両方を損耗させ弱体化させる戦略を立てる。プリゴジンの乱は、西側諸国にとって、千載一遇のチャンスである。プーチンを倒すのに正義はいらない。悪をもって悪を制すことこそ最上の策ではないか。

プリゴジンよ、男ならやてみろ

 ロシアの民間軍事会社ワグネル創設者プリゴジンの反乱は、ウクライナ応援団の私にとって、対岸の火事であり、この火種が燎原の炎となってロシア全土を焼き尽くすことになれば面白いと物見遊山の気分で眺めている。

情報のない私が、憶測で書いたところで信憑性もないから、ブログの材料にもならないが、ウクライナ戦争の主力部隊だったプリゴジンの2万のワグネルが、おめおめと解体され、ロシア正規軍に吸収され、最前線の楯にされるとは私には思えない。まだまだ一波乱も、二波乱もあるのではないかと期待している。

なぜならプリゴジンは、プーチンの目の上のタンコブ。暗殺の対象となることくらいプリゴジンが一番理解している。NATOからは戦争犯罪人で指名手配されているから、西側諸国に亡命は出来ない。ベラルーシュはプーチンの傀儡政権だから亡命先にはなりえない。プリゴジンの選択肢は、ワグネルを温存して我が身を護るしかないのである。

問題はワグネルを維持する軍資金である。ワグネルはもともと指定暴力団のようなならず者集団だから、ロシアの大金持ちを脅迫すれば、いくらでも軍資金となる裏金は調達できる。ロシアの貧富の格差は天文学的と言われており、金持ちからカネを強奪することは、庶民の留飲を下げ、ざまーみろと喝采を浴びる。ワグネルへの義勇兵も増えるのではないか。歪んだロシアの貧富の格差是正に、第二のロシア革命(階級闘争)に持ち込めば、プリゴジンは英湯として第二のレーニンとなって歴史に名を遺す。民衆はプリゴジンの進撃を讃えたようだが、革命までの機は熟していなかった。プリゴジンの内乱は不発に終わった。民衆や軍部にプリゴジンに呼応する動きがなかったからである。しかし常軌を失ったプーチン政権がこのまま持つだろうか。歴史を紐解けば<盛者必衰の理をあらはす。おごれる人も久しからず、ただ春の夜の夢のごとし。>であり、持つはずがない。

今やプリゴジンは、悪党と呼ばれた楠木正成や平将門のような大衆が支援する存在となった。楠木正成や平将門は最終的に国家権力の軍門を破ることは出来なかったが、世の中を変える起爆剤になった。プリゴジンほどの大悪党である。おめおめとプーチンの軍門に下ることはないだろう。プーチンロシア帝国崩壊の第一幕が始まったばかりだと、私は期待して眺めている。

 ヤブ睨みのウクライナ情勢

習近平がジェレンスキーと電話会談したという。政治的意図は不明だが、ロシアの核使用へのけん制になれば幸いである。習近平としては、中国が仲介して和平合意に持ち込み、戦後復興の漁夫の利を狙っているのだろう。故にどちらが勝っても困る。両国が疲弊すればするほど、国境を接する中国の出番が回ってくる。復興にかこつけた経済進出のチャンスである。中国は、裏でロシアにもウクライナにも武器を供与できる死の商人になりうる国である。

習近平のウクライナ接近をプーチンは歓迎しているだろうか。苦々しく思っているだろうが口にはだせない。間違いなく、ウクライナ戦争でロシアの国力は低下しており、国際社会における中国の存在がロシアを上回ってしまった。これまで東西冷戦はアメリカとロシアの戦いだったが、これからはメリカと中国の冷戦時代に突入した。もしも中国の介在でウクライナ戦争が停戦となれば、世界の警察官はアメリカから中国に明らかに変わるだろう。

だが、そう易々とことは進まない。この戦争は、プーチンの意地とウクライナのメンツの両方が立たなければ終わらないからだ。ロシアのウクライナ領からの全面撤退はないし、ウクライナが領土をロシアに分割することもあり得ない。

だとすると、朝鮮戦争の38度線のように、膠着した前線のどこかで線引きし、領土問題は凍結したまま停戦合意に漕ぎつけ、第三国の中国とインドが主体となった停戦監視団が停戦地帯に駐留して監視する体制でも敷かなけfれば収まらないのではないか。アメリカ・NATO・日本・韓国が停戦監視団に加わることはロシアが許容しない。ロシアとウクライナに割って入る大国は中国とインドくらいではないだろうか。習近平が、そんな思惑でウクライナに接近したとすれば、歓迎すべきなのだろう・・・・・・か。どんな形でも不毛な殺し合いの戦争はやめて欲しいと願っている、

再び、ミネルヴァの梟は黄昏に羽ばたけ

早朝のラジオ体操に、春の訪れか小鳥のさえずりが聞こえだした。中に聴きなれない鳥の声がするのでフクロウかと疑うが誰も解らない。フクロウはギリシャ神話の智慧の象徴だったと話が弾む。

某氏がミネルヴァの梟黄昏に羽ばたく』は、マルクスの資本論の序文の言葉だと説明される。どうも私の記憶とは違うが、確信がなかったので口は挟まなかった。ミネルヴァのフクロウは、学生時代に立教大学文学部助教授だった故岡本勇先生(後に神奈川県考古学協会会長)がよく話されていたので馴染みのあるフレーズである。とは言えマルクスの資本論を私も少しは齧ったことがあるが、ミネルヴァのフクロウの記憶はない。どうも某氏の記憶違いのようだ。そこで確認すると以下が正解である。

ヘーゲルの「法の哲学」序文には、哲学の非実践性を告げるかのように「ミネルバのフクロウは暮れそめる夕暮れを待って飛び立つ」と書いていた。

ミネルヴァとは、ゼウスとメティスの娘、アテーナーのことで、知恵、芸術、工芸、戦略を司るギリシア神話の女神である。オリンポス十二神の一柱である。アテーナーは、夕暮れになると飼っていたフクロウをアテネの町に飛ばして一日の出来事をさぐらせ、それをもとにみずからの知恵を深めたとされる。

ヘーゲルは、哲学をミネルヴァの梟にたとえ、一つの時代が形成される歴史の運動が終わった後で哲学はその時代の意味を読み取り、歴史を総括(止揚)する知恵を見出すと考えた。

一方でマルクスの論文では、『ミネルヴァのふくろうの翼があがらないようにみえるとし、男らしくて力強いストア派の人々でさえも、成功しなかったようにみえる。』と書いている。さらに『ドイツ復活祭の暁を、ガリアの鶏が鳴き声で告げるであろう。』とあり、これはヘーゲルの「ミネルヴァの梟」に対抗し、マルクスは「ガリアの雄鶏」がプロイセンにも新しい時代の夜明けを告げようとしていると、プロイセンの法体系を作ったへーゲル法哲学への批判とされている。

「ガリアの雄鶏」とは、フランスの国鳥である。フランス人の祖先のガリア人(Gallia)が飼っていた鶏に習い、ローマ人も鶏を飼うようになり、雄の鶏を『ガリア人の雄鶏』という意味で『ガルス』と呼んだ。フランス国旗の三色旗の左にシンボルとして描かれている。つまりフランス7月革命を「ガリアの雄鶏」に例え、新しい時代の夜明けと比喩して表現したのだろう。

マルクスの史的唯物論から法と国家を解明すれば、国家は階級対立に分裂した社会で成立し、国家権力は支配階級によって掌握される暴力機構であり、法は支配階級の利益のためのイデオロギー的上部構造である。マルクスはヘーゲルの法体系を批判したが、それに代わる社会主義の法体系を提示しただろうか。ソ連や中国の共産主義的統治機構と法体系は、国民の自由と人権が擁護されているとは思えない。マルクスの未来社会は夢想に終わり、ヘーベルの法哲学が現実社会では機能している。

 マルクスは、ベルリン大学時代は、ヘーゲル法学の門下生だった。へーゲルは、1770年~1831年、マルクスは1818年 ~ 1883年で、48年の年代差がある。共にフランス革命に影響された世代であり、自由民権、市民革命の最中にへ0ゲルは、プロイセン帝政時代における自由主義国家の法体系の基盤を作った。この法体系は、明治の帝国憲法の法体系に導入され、今日まで基本形が継承されている。

マルクスは、フランス7月革命のブルジュア革命から労働者階級の小規模なコミューン共同社会やアメリカの公民権運動に触発され、史的唯物論の共産主義へとヘーゲル哲学をアウフヘーベン(止揚)させた。マルクスには、へーゲルの『ミネルヴァの梟』を止揚させる対象として、フランス革命のシンボルでもある「ガリアの雄鶏」を持ち出したのだろう。

ヘーゲルもマルクスも同時代に生きた実証主義に基づく史料批判による科学的な歴史学を共有する。二人は、同世代に歴史学を確立したレオポルト・フォン・ランケの歴史観から、法学と経済学の理論体系を形成した先駆者だった。変革する時代に触発されて、道徳観や宗教観からではなく、歴史実証分析を基盤とする新しい思想や哲学が誕生する。現代社会は、フランス革命抜きには語れない。

しかるに櫻井よしこを筆頭にする頑迷固陋の自称右翼は、日本国憲法は、日本人の自尊心を損なわせた米国の押し付けだと改憲を主張する。だが日本国憲法体系は、フランス革命以降の民主主義国家の世界標準を明治維新で導入した叡智である。変わっている点と言えば、象徴天皇制と9条の戦争放棄だろう。しかしウクライナ戦争の無意味な殺戮合戦を見るまでもなく、戦争放棄は人類普遍の理念である。誰しも人と人が殺し合う戦争ほど無意味だと解っている。国家国民を護るために戦争は必要なのか。14億の中国には勝てないのだ。智慧で勝つしかない。

国民が飢えて死ぬ貧乏国なのに、際限もなくミサイルを開発する北朝鮮ほど哀れな国家はない。自公政権が進める敵基地攻撃能力などは、まさに軍拡競争の軍事産業を潤すだけで、国民の福祉とは程遠い。アホな金正恩など無視すればよい。キチガイに刃物だと云って、こちらも刃物で対抗するほど日本人は愚か者なのか。エネルギー資源がない日本がいくら軍備を持とうが、中國に海路を封鎖されれば3か月と持たない。だからと云って、ウクライナのように、アメリカは日本に援助はするが中國と全面戦争は避ける。ムダな軍拡競争は、若者が無駄死にするだけのことである。

若者が銃を持って戦うことはない。第一に、中國が日本を領土化する野心があるだろうか。もしあるなら、中国大陸と地続きの朝鮮やタイ、ベトナム、ミヤンマーなど東南アジ諸国をなぜ中国は併合しないのか?日本より軍事力もな小国である。

もともとこれらの諸国は、歴史的に中国の領土ではなく、併合する大義名分がないから攻める名目がない。ロシアがウクライナ併合を画策するのは、歴史的に一体だった過去を大義名分とするからである。ロシアはアリューシャン列島を戦後のどさくさに領土化したが、日露戦争の遺恨地でもあった。満州は中国から分離できなかった。満州がロシアの領土だった歴史がないからと言える。

日本は有史以来、独立国家だった。国際法からは主権国家として他国の領土に編入されることはありえない。故に堂々と戦争放棄の錦の御旗を掲げ、国際秩序を保つ法治国家を維持することこそが、最大の日本の安全保障と言える。軍事同盟を結ばずとも世界中の恩主主義国家が支援する。日本に必要なのは、軍備支援ではない国際貢献である。平和の象徴としての天皇の外交は、政治家の外交が足元にも及ばぬ優れた効果があった。戦後の歴史を振り返れば、平和の象徴の天皇の外国訪問と9条が国民を護る盾となってきた。

今こそ新ためて『ミネルヴァの梟は黄昏に羽ばたく』知恵ある国家になって欲しいものである。

ウクライナに同情より軍資金を

プーチンは、3か月もあれば、首都キーウは陥落するとタカをくくっていた。だが長引く戦況はウクライナが優勢で、ロシアは大苦戦に追いこまれ、弾薬も底をつきかけていると報道されている。どこまで正しい情報なのか軍事評論家の見て来たような話を信じるしか情報源はない。

私は、 ゲラシモフ参謀総長の総司令官起用は、再度のキーウ総攻撃の布石かと予想したが、専門家の見立てはどうも違うらしい。

プーチンは、ゲラシモフに 「3月までドンバス(ドネツク・ルハンシク)を完全に占領せよ」と厳命したという。

9月にプーチンは、ルガンスク州、ドネツク州、ザポリージャ州、ヘルソン州をロシアに併合したと宣言した。しかしドネツク州は50%程度しか支配できていない。そこでプーチンはウクライナ全土のロシア化は諦め、上記4州を完全制圧した上で、ロシア領と認めさせる停戦交渉に持ち込む方針転換にでたとの分析である。この軍事作戦が成功すれば、プーチンの面目は保たれ、勝利宣言で終結可能ではある。しかし、ウクライナは領土分割を認めないからロシアが、ドネツク州を完全制圧しても停戦はありえない。この戦争はロシアが軍事行動を止めるまで終わらない。

<ウクライナ天下分け目の戦い>

ゲラシモフの戦術は、ベラルーシ領からロシア軍とベラルーシ軍が合同でキーウに南進し、東の軍はドネツク州制圧を目指す2方面作戦ではないか。ウクライナ軍は、北と東で「二正面作戦」に備えて、首都キーウの防衛とドネツク州の攻撃に兵力を二分され、ドネツク州は手薄となるので、ロシア軍はドネツク州を完全制圧しやすくなる。キーウ攻撃は、オトリの陽動作戦だが、ウクライナ軍を分断させる効果は高い。しかし、ロシア軍も兵力は二分されるから、アブハチ取らずの絵にかいた餅である。そこで、ロシアはオトリ作戦のキーウ攻撃にベラルーシの参戦で補う気でいる。

ベラルーシの参戦は微妙だが、ルカシェンコはプーチンの脅しに屈し、形だけの援軍を送らざるを得なくなるが、戦力にはならない。

プーチンは、この戦いに備えて大動員令を近く発表するらしいが、兵器も備品も不足するなかでは見せかけのハリボテ増員でしかない。動員令は、国民の動揺と厭戦気分が高まるだけで、ますますプーチンは窮地に追い込まれるだけである。

3月決戦で決着を>

この程度の分析は、NATO・アメリカの軍事顧問団も想定しているに違いない。公表されていない最新兵器の供与も密かに行われるから、士気と兵器の劣るロシア軍は、<飛んで火に入る春の虫>の大敗北に終わる。戦争を終わらせるためには、徹底的にロシア軍を壊滅させるしかない。

ウクライナが勝利することは、西側諸国の武力と団結力を示すことになり、北朝鮮や中国への最大の抑止力になる。西側諸国に戦争を仕掛ければ、プ―チンのように自己破滅するだけだと、金正恩や習近平に思い知らせることになる。

日本は敵基地攻撃能力など悠長なことより、今、ウクライナに軍資金を送る方が、最大の抑止力になるはずだ。増税などせず、今すぐにでも、ウクライナに数兆円規模の軍資金を拠出し、ロシアの脅威を排除することが、遥かに将来の戦争リスクを回避できる投資だと私は思う。その意味では、アメリカをダミーにした迂回支援もやむを得ない。戦争が収まれば、ロシアは疲弊した国力回復に、サハリン原油とガスを日本に買ってほしいはずだ。北方4島だって話が前向きに進む。徹底的にロシアが弱体化することは、世界平和の道につながる。禍福は糾える縄の如しである。

クライナを見殺しにできるか。

プーチンはウクライナ侵攻を後悔しているだろうか。後悔させるまで戦いは終わらない。

一昨日、プーチンはウクライナ侵攻の総司令官を解任し、ゲラシモフ ロシア連邦軍参謀総長兼第一国防次官を総司令官任命した。ウクライナ侵攻総司令官のセルゲイ・スロヴィキンは副司令官となった。一見すると降格人事にみえるが、ゲラシモフはロシア軍参謀総長だから、プーチンにとって背水の陣の布陣と言える。見方を変えれば、冬が明ければ天下分け目の戦いが始まる。西側にとって、国論を二分している時ではない。勝つか負けるかしかない。

戦争の発端は、旧ソ連邦のウクライナがロシアの属国支配から離脱し、NATOに加盟する動きを阻止するためだとされる。ロシアとウクライナは歴史的に兄弟国である。言い換えると北朝鮮と韓国、中国と満州のような関係にあった。

我々の学生時代に新宿の歌声喫茶では、コザック兵の民謡がよく歌われたが、コザックがウクライナだとは知らず、ロシア民謡だと思っていた、コザックは、ウクライナとロシアの軍事的共同体であり、主体はウクライナ中南部の草原地帯の遊牧民だった。

ウイキペディアによれば、16世紀半ば以降、ドニエプル川の中流を中心とするザポロージャ地方やドン川の下流に根拠地を築き、それぞれザポロージャ・コサック(ウクライナ・コサック)およびドン・コサックと呼ばれた。ウクライナのザポロージャ・コサックはポーランド・リトアニア共和国、ドン・コサックはロシア・ツァーリ国に属し、軍務を提供する見返りに自治権を与えられた。18世紀、ザポロージャ・コサックはロシアからの離脱を図るもののこれに失敗し、18世紀末にロシア帝国によって廃止された。ドン・コサックによる反乱はいずれもロシアによって鎮圧され、結果ドン・コサックはロシアの体制に取り込まれた。

帝政ロシアはコサックを国境警備や領土拡張の先兵、国内の民衆運動の鎮圧などの任にあてた。19世紀以降、コサックはロシアにおいて貴族・聖職者・農民・商人とならぶ階級の一つとなり、税金免除と引き換えに兵役義務が課され、植民政策における開拓、国境防備、治安維持などに従事した。ロシア内戦中の1919年から1920年にかけては弾圧の対象となり、多数のコサックが離散した。コザックの語源は、クマン語とクリミア・タタール語に由来し、「自由の人」「冒険家」「放浪者」「番人」「盗賊」「傭兵」などの多様な意味合いを持つ外来語である。旧コザック地帯は、今回の主戦場になっている。

元来ウクライナ人は、草原地帯の遊牧民で騎馬を操る勇敢な民族だった。ロシアの国境警備や先兵、国内の民衆運動の鎮圧に動員されてきた歴史があるから、地上戦ではロシア軍より精鋭である。ウクライナにNATO・アメリカの最新兵器を供与すれば、鬼に金棒、ロシア軍に負ける要素はない。プーチンにとって、ウクライナがNATOに加盟すれば、軍事的にロシアは圧倒され、ロシアに加盟していた諸国がドミノ倒しでNATOに呑み込まれるのは火を見るより明らかだった。

そこで、プーチンは、『孫子の兵法』」の風林火山の戦法にのっとり、<其疾如風: 其のはやきこと風の如ごとく><侵掠如火: しんりゃくすること火の如く>キエフの奇襲攻撃にでたのである。キエフを短期に制圧すれば、ウクライナは簡単に陥落可能だとタカをくくっていた。

まさか・・・・1年も戦闘が長引くとは・・・・・あきらかに、プーチンの誤算である。今回、総司令官に任命されたゲラシモフ連邦軍参謀総長兼第一国防次官は、開戦に当たり、短期のキエフ陥落が可能だとプーチンに進言し、周到な準備を行っていたはずである。だが机上の作戦は絵にかいた餅であった。ゲラシモフは、負ければ責任を追及され、銃殺か暗殺かで生き残る道はない。

だが緊急動員された兵士が、プーチンやゲラシモフのために、命を懸けて戦うだろうか?笛吹けど踊らず、戦闘意欲は薄いと報道される。

ウクライナは負ければ、国を失う。だがロシアは負けても国を失うことはない。ロシア兵は、死ぬか、離脱して降伏するかの二者択一である。最前線を離脱した兵隊は、銃後の味方から狙撃される。司令官も離脱したい兵隊から撃たれるリスクを感じて疑心暗鬼である。戦闘意欲に欠けるロシア兵。勇敢なウクライナ兵。武器さえ供給すれば、ウクライナは負けない。ポーランドは、ウクライナが負けると、歴史的に次はロシアの標的にされる。そこでなりふり構わず武器を供与している。NATOはポーランドを介して陸路で武器援助を強化してきた。ゲラシモフを叩けば、ロシア軍は総崩れする可能性は高い。そうなればプーチンは、国外逃亡するか、自決するしかなくなる。

私がゲラシモフなら、再度、総力を挙げてキエフに侵攻するだろう。そこで勝利宣言を行い、終戦協定に持ち込む。キエフを落とさない限り、この戦争は終わらないからだ。ウクライナも解っているから、これまで西側から供与された300台もの旧型戦車は温存して配備している。防空システムさえ破壊されなければ、キエフ陥落はない。

ウクライナの対抗策は、ロシア司令部を探索し。精密誘導ミサイルでロシア将軍をピンポイントで狙うことである。ロシア軍は上意下達の硬直したシステだから、ゲラシモフからの指揮命令系統を遮断すれば、最前線は機能しなくなり、補給網も絶たれる。

我々日本人にとって、危ないプーチンを生かしておく方がいいのか、息の根をとめた方がいいのかの選択である。

万が一に、西側がウクライナを見殺しにしてロシアが勝利すれば、北朝鮮は韓国を攻撃し、中国は台湾の攻撃に踏み切る可能性が高まる。なぜなら、西側諸国は、護る価値のない極東の争いに参戦せず、韓国も台湾も見殺しにすると見切れるからである。アメリカの支援なしに台湾・韓国は勝てるだろうか。韓国・台湾が落ちれば、次は日本がやられる。尖閣どころか、九州は中国の支配下におかれ、北海道はロシアに占領される。敵基地攻撃能力なんて、クソの役にも立たない。中国と日本が戦争になれば、国論が二分されているアメリカは、自国優先で核戦争を恐れて日本から撤退する。だから・・・・・ここはウクラウナに勝って貰わないと日本は困るのだ。

ウクライナは、西側諸国を護る主戦場となり、多くの犠牲者を出し、まことに気の毒に堪えない。しかし、この春は天下分け目の戦いになるだろう。日本は、肝を据えて、できる限りのウクライナ支援をする場面である。武器補給が出来ないから、無償の軍資金を惜しげもなく提供すればよい。返還は戦後になって優先的に小麦を供給していただけば、トレードは成り立つ。

プーチンの息の根をここで止めれば、中国の脅威も弱まり、軍事の増強などムダな出費となる。

本の国力の行く末は?

1.       賃金は韓国以下の国

平均年収が韓国に抜かれたのは2012年のことで10年前だった、それから徐々に差が広がり、今では韓国人の平均年収は日本人より1割以上も多くなっている。その分、韓国の物価も高く、賃金格差や失業率も高いので、一概に国力の比較はできない。日本は安倍晋三のインフレ政策に反してデフレだったので、可処分所得では韓国より暮らしやすかったかもしれない。年金生活には、デフレが住むやすかった。

2.       国力低下の原因はアホノミクス

原因は、デフレ脱却を狙ったアホノミクスの金融政策が失敗だったことに尽きる。私はアホノミクスでトリクルダウンなど起きないことを、10年も前から批判し続けてきた。歴史は繰りかえす。過去のイギリスの金融政策の失敗を分析すれば、10年前に容易に予想できた話である。分析能力もない無能な政治家を攻めたところで、過ぎ去った過去は取り戻せない。アホノミクスは金融市場だけが潤い、貧困家庭が増加し続け、出生は80万人を割ってしまった。3年間で700万人を越える団塊世代が年金生活の後期高齢者に達する中で、働き手を失った日本の国力低下に拍車がかかっている。20年も前から予想された事態だったが、少子化担当大臣なんて名前だけで全く役に立たなかった。原因は、安倍晋三の無能無策とリーダーシップ能力のなさだと指摘するしかない。全ては安倍晋三に8年間も権力を委ねた国民にツケが回っている。ザマー見ろと自公支持者を罵りたいが、泥船に乗らされた私も沈むしかない。10年前に私は安倍批判を辛辣に繰り返し、私にさんざん誹謗中傷のコメントが寄せられたが、私の批判が正しかったことは歴史が証明してくれた。

3.       海外移転による国内製造ノウハウの流出

アホノミクス政策で、企業の内部留保だけが膨れ上がり、新規投資と従業員への還元が凍結された。投資家は企業の発展より、目先の配当の還元だけを要求した10年だった。富裕層がより豊かになっても、庶民にカネは落ちてこない。前沢有作などは宇宙飛行にカネをばらまいたり好き放題だったが、こんな男から税金で搾り取って福祉に舞わすことが国策だったはずだ。富裕層優遇税制を改めない限り、貧困家庭の救済原資は出てこない。

配当を優先し、国内投資を怠ってきたので、先端技術のIT産業は台湾にお株を奪われ、製造業の下支えだった町工場の部品製造は、低賃金の海外移転で空洞化してしまった。コロナで中国に依存するサプライチェーンが機能不全に陥り、製造業は生産停止に追い込まれてしまった。さらにロシアのウクライナ侵攻が物資不足に追い打ちをかけている。

戦後の日本はモノ造りの加工貿易が国力の源泉だったが、職人技のモノ造りは生産性の高いITロボットに移行され、日本人の几帳面な真面目さを生かす中小企業が海外移転でリストラされてしまった。日本の資源だった職人技が通用しないのだから、賃金低下は当然でもある。

4、   安心して子育てできる社会

答えは簡単である。国民の<将来不安をなくす>ことである。岸田は目先の賃金を上けろと大企業に迫るが、少子化の根本的対策にはならない。大企業に勤める中間層だけで大多数の国民は取り残されたままである。

国民が等しく安心して暮らせる社会が実現しないと、人口減少と国力低下に歯止めはかからない。

解決策は、<福祉政策>を国策の最優先とすることである。そのためには所得制限を設けず、①18歳以下の子育て費用は全て国家が保障する。②二人以上の子供を育てた夫婦の老後年金は、育てた人数に応じて奨励加算する。私たち夫婦のように原因があって産めなかった家庭は、国が積極的に養子縁組を斡旋したらどうか。①②の政策があれば、子育てに経済的負担はない。子供を育てるほど、老後の年金が加算され、将来安心社会に変えることができる。子供が増加すれば、年金原資も確保できる。現状は真逆のスパイラルに陥っている。

5、  財源の確保 国防費は現状維持で十分

そのためには、税制の抜本的改革で高額所得者と企業課税を上げるしかない。すぐに陳腐化する国防などはGDP1%以内に抑えるべきである。それでも世界有数の軍隊である。

敵基地攻撃能力などは、大人のオモチャで抑止力などない。また現実には、反撃は出来っこない。それはウクライナ戦争で証明されている。

ウクライナは、ウクライナ領内に侵攻したロシア占領地の基地は攻撃できても、ロシア領内の基地攻撃は出来ないのが現実だからである。欧米は、ロシア国内を攻撃できる長距離ロケットの供給は個なっていない。ロシア領土内を攻撃すれば、核戦争に拡大する恐れがあり、そうなればNATOも参戦せざるを得なくなる。故にロシア国内を攻撃する兵器は供与していない。

それは、日本でも同様である。日本領土内に侵攻してきた敵基地は攻撃できても、中国領土の基地を攻撃できるだろうか。物理的に反撃は可能だが中國も応戦し。全面戦争の引金となる。どちらかが降伏するまで戦争は長引く。全面戦争になれば日本の勝ち目はゼロである。資源・動員力・武器備蓄すべてが劣る日本である。日米安保があろうが、全面戦争になれば、アメリカが中国本土を攻撃することはありえない。今のアメリカは、国論が二分化され、ウクライナですらいつまで支援が続くかわからない。

中国との戦争になれば、少なくても数100万人の犠牲者が出て、100万人以上の若者が召集され、半数は死ぬだろう。中国はコロナで100万人が死のうがびくともしない。国民の0.1%にも満たないからだ。戦争は消耗戦である。日本人がそこまで犠牲を覚悟して敵基地攻撃する気なら、私は非戦闘員だから止める気はない。アホな国民だと呆れてみているしかない。傍観して、ムダな抵抗おやめなさい、というしかない。敵基地攻撃なんて、カエルの面にションベンを掛けるようなもので、中國相手には抑止力にもならない。自民党の代議士はつくづく頭の悪い連中ばかりだと思いませんか。GDP2%の国防費なんて、ドブにカネを捨てるだけである。国防は現状維持、増税してでも少子化対策を優先すべしである。岸田は、最悪の亡国の道を選択している。

6, 現状を冷静に分析すれば、日本は安全

日本の仮想敵国は、中國とロシアだが、ウクライナ戦争中のロシアは日本を攻撃する余力はない。北朝鮮は38度線の韓国の防衛ラインを越えてまで日本を直接攻撃する力はない。北朝鮮は韓国に任せて置けばよい。

残るは中国だが、中語にとって東シナ海の資源は魅力的だが、辺境の蛮族だった日本列列島を支配下に置く野望は歴史的に持ち合わせていない。東シナ海の海洋資源がらみで尖閣列島の領有は放棄しないだろう。だが・・・・尖閣は無人島である。よしんば、占領されたとしたら、日本は中国本土の基地を反撃するだろうか?領海内に侵入した中国海軍に魚雷攻撃するだろうか。もし中国と交戦状態になれば、南沙諸島の海上が封鎖され、中東からの石油・天然ガス輸入は遮断される。発電所が攻撃されなくても、ウクライナ並みの停電が発生する。中国は日本列島を直接攻撃しなくても。南シナ海を抑えているから。日本の息の根を止めることができる。

中国の標的は、先ずは台湾である。台湾が攻撃されても、アメリカはウクライナ同様に武器援助はするが、直接介入はしない。沖縄を防衛ラインに、中國を威嚇するに留まる。日米安保がある限り、沖縄防衛は信頼してよい。中国もアメリカと直接交戦する気はないから、気兼ねしてロシアへの表立った武器支援は控えている。

懸念されるのは、中台全面戦争にあって、アメリカが沖縄を支援基地化した場合である。では中台全面戦争はありうるか?である。答えは、ありえない。今や台湾のIT部品の供給なしに中国の生産ラインも動けなくなる。台湾を生かしておく方が中国の国益に合致する。台湾を焦土化してまで領有するメリットは何もないからだ。台湾の親中派を増やし、取り込んで属国化するほうが理に適う政策である。中国人はしたたかで、智慧がある。

つまり、国際情勢を冷静に分析すれば、敵基地攻撃能力などと中国を刺激することなく、少子化対策の福祉予算充実を最優先しても、日本の安全保障が阻害される恐れは全くない。

7.  日本の資源と税源の確保

唯一残された日本の資源は、祖先が大切に残してくれた歴史的遺産と風土に頼る観光産業だけとなった。インバウンドの観光産業で当面は頼るしかないのだろう。それにしては、環境保全にカネをかけず、里山や山林、海岸保護などの景観の荒廃が目立っている。

例えば、東北大震災復興予算では、津波防止のために防波堤嵩上げと造成工事で、三陸鉄道はトンネルだらけ、美しい海の景観が全く見えなくなった。

三陸鉄道の乗車駅では、横断幕まで用意して観光客を住民が見送ってくれた。久慈まで観光乗車したが、期待した海はみえず、トンネル続きで二度と乗る気はしない。と云って、沿線の住民は少ないから、景観の観光資源を失った三陸鉄道では、維持できなくなくなるだろう。本当の意味での復興ではなく、一時的にトンネル掘りの土木業者が潤っただけに終わってしまった。長い目で見れば、自然環境資源を生かさぬムダな投資である。

三陸では津波対策は重要政策だが、生きて収入を得るためには、観光資源である景観との共生が欠かせないはずだ。ところが隈研吾がデザインしたバカでかい津波実記念館が目立つばかりで、美しいリアス式海岸と漁村の自然景観は見えなくなってしまった。海が一望できない三陸など魅力はない。津波被害だけが売り物なら、リピーターは期待できない。今は津波学習を兼ねた修学旅行生が頼りのようだが、海外からのインバウンド需要は期待薄である。

国の復興担当大臣などお飾りで、自公政権の本音は復興利権をシロアリの巣にすることである。昨年秋に三陸旅行をしたときに、そう思った。

観光が今や唯一の資源だが、観光資源である日本の伝統文化が地方から消え、大都市だけが生き残る。今でも地方の土産物にはベトナム・タイ・中国産が多数混じって我が物顔である。地産地消どころか、土産物まで海外生産に頼る変な日本になった。地域の特産品を作る職人や店が減っている。観光資源すら枯渇した日本には何が残るのだろうか。

少子化が止まらず、国力は年々退化する日本。何が真の国防なのか、よ~く考えて欲しい。

↑このページのトップヘ