青いレモンの味がした頃

無限の宇宙の営みの片隅で、私が人として生まれたことは奇跡に近い。なのに残り少ないこの世の人生をコロナで制約されるのは腹立たしい。と言って、やることも浮かんでこない。忙しい時には、あれこれやりたい気持ちが湧いてきたが、一日中在宅だと今日でなければ困る課題が何もない。人生を先延ばしできる年齢ではないから、寸暇を惜しんでやるべきだと思うが面倒くささが先に立つ。もし人生を貯蓄できるなら、コロナが終息するまで熊さんのように冬眠したい。

映画の2001年宇宙の旅だったと思うが、数万光年も離れた宇宙に生きて到達するために、カプセル内で何万年も冬眠し、タイムスイッチで目覚める場面を思い出す。浦島太郎の物語のように人類は何時かそんな冒険の時代が来るのだろう。だが地球に戻っても、そこは未知の惑星である。そんな先の世界まで知りたいとも思わない。

過ぎ去った過去は断ち切ったが、未来があるわけでもない。成人式のニュースが流れるが、私の記憶にはない。酒もタバコも高校卒業と同時に経験したし、二十歳が区切りでもなかった。今の若者と違うのは、結婚するまで童貞だったことくらいか。うらやましいのは、今の若者のセックス・フリーを経験しなかったことくらいか。団塊の世代は、女性に興味があっても、興味がないふりをするのが男のダンディスムだと思っていた。今では堅苦しい男だったなあと後悔している。

女性と言えば、今でも忘れない女性が一人いる。一度も話したことはないが、高校3年間、毎朝同じ電車に乗り合わせ、真ん前に座っていた立教女学院の生徒だった。渋谷始発の下り電車だから空いていて、同じ時刻で定位置に座る。3年間も真ん前に座っていたから気になって仕方がなかったが、話しかけることが出来なかった。私はむさくるしい男子校だったので、私服で通う立教女学院の生徒が眩しかった。それに本間千代子のファンだった。

草の丘 本間千代子

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ダメもとで話しかけ、電話番号を聞き出したらよかったと思うが、当時は断られることしか頭に浮かばなかった。ダメもとで恥も外聞もなくできなかったのが心残りである。

大学受験では、中央大学法学部、学習院法学部も合格した。だが迷うことなく立教を選択した。母は中央で司法試験を目指せと勧めた。父は我が家から一人くらい学習院がいいといった。両親には言えなかったが、私は立教に入れば、電車の彼女に会える期待だけで立教を選択した。だが4年間、学内で彼女の姿を見かけることはなかった。我が青春でやり残した唯一の思い出である。

デュークエイセス おさななじみ

デューク・エイセス おさななじみ 2014 - YouTube

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