冷静に見るべし日韓問題
インターネットを立ち上げるとYAHOOが表示される。すると<あなたへのおすすめ>の記事がずらずら並び、その八割が<朝鮮日報・日本語版>なのだ。
<あなたへのおすすめ>とあるから多分、私が興味をもってクリックする記事をパソコンが分析して、勝手にセレクトして表示するようだ。
それで、朝鮮日報って何だろうと、ウイキペディアを見たら、<朝鮮語読み: (チョソンイルボ)は、大韓民国の日刊新聞。東亜日報と並んで韓国で最も歴史が長い新聞社であり、発行部数は韓国最大である。>と出ている。
日本で言えば、朝日・毎日・読売みたいな大新聞らしい。
更に<編集性向は保守的・右翼であり、韓国の新聞の中でも強硬派に属する。金泳三政権までは政府に好意的な記事が多かったが、金大中政権・盧武鉉政権時代は政府に批判的な言論が増えた。その後の保守派の李明博政権・朴槿恵政権には好意的であった。現在の文在寅政権に対しては極めて攻撃的・敵対的な姿勢をとっている。そのため、保守・右派層、既得権層、財閥、民族主義派からは支持を得ているが、左派、労働組合からは批判を受けている。>と書かれていた。
確かに、内容は、文在寅政権に対して批判的な姿勢の記事が多い。
その中から、朝鮮日報が報じる尹平重(ユン・ピョンジュン)韓神大教授(政治哲学)の論説を少し長くなるが紹介したい。
【民族主義的な歴史政治が火を噴いている。親日積弊清算を望む大衆の感情的要求と、北朝鮮と共に韓半島(朝鮮半島)の平和を実現させようと考える「我らは同じ民族同士である」という情熱がそれだ。
歪曲された韓半島の現代史を正す「百年戦争」の熱望が歴史戦争をあおる。そのようにして親日積弊清算運動が大々的に繰り広げられている。「我ら同じ民族同士」という情熱は2回目の米朝首脳会談の決裂で一息ついているだけで、いつでも再び火がつく可能性がある。
今の反日感情と「我ら同じ民族同士」という感情は典型的な「官製民族主義」(official nationalism=公定ナショナリズム)の所産だ。「官が主導する民族主義」だからといって、政府が国民に一方的に民族感情を注入しているわけではない。
今の反日感情と「我ら同じ民族同士」という感情は典型的な「官製民族主義」(official nationalism=公定ナショナリズム)の所産だ。「官が主導する民族主義」だからといって、政府が国民に一方的に民族感情を注入しているわけではない。
大衆が民族主義的な感情を既に心の奥深くへと内面化させているからだ。日本の植民地統治と分断からはじまった痛恨の歴史の経験は、韓国人の民族主義的な感性を極大化させた。我々の民族感情が平和志向の抵抗的民族主義だったという史実が、韓国の民族主義の正当性を一層強化した。今や韓国の民族主義は神聖不可侵の聖域となり、その逆鱗に触れようとは誰も思わない。官製民族主義が繁栄する最適な土壌なのだ。
(中略)
(中略)
しかし、官製民族主義には致命的な毒素がある。
権力は失政を隠し、政権の正統性を高めるために民族主義を悪用する。維新体制(朴正煕〈パク・チョンヒ〉政権体制)は政府の主導により民族主義史観を最大化させ、当時の朴正煕大統領の独裁を正当化した。
北朝鮮は金一族による世襲政権を擁護しようと、我ら民族の歴史全体を「金日成(キム・イルソン)民族」の主体(チュチェ)史観に変質させた。官製民族主義の最大の弊害は、現実の不平等と貧困、格差拡大と政権の無能といった真の問題を隠ぺいすることにある。
ロシア・中国・トルコ・ベネズエラで見られる通り、水平的兄弟愛で結ばれた架空の民族概念を政権があおり、深刻な体制矛盾を隠すことが官製民族主義の本質だ。
しかも、文在寅(ムン・ジェイン)政権は我々の生死が懸かっている南北問題まで官製民族主義で粉飾しようとしている。「我ら同じ民族同士」という民族感情に訴えて北朝鮮の核危機をほぐし、韓半島の平和体制を構築しようという図式は美しく見える。
しかし、民族感情で南北関係を解決しようとしている文在寅大統領の官製民族主義は出発することすら難しい。「金日成民族」であることを強調する北朝鮮の民族主義と、韓民族を掲げる韓国の民族主義が歩みを同じくするのは原則的に不可能だからだ。三・一節(独立運動記念日)と上海臨時政府樹立100周年を共にたたえる提案を北朝鮮が受け入れられなかったのには思想的な理由があったのだ。
文在寅政権の官製民族主義は民主主義を脅かす。
親日積弊清算が民衆の同意を背負った韓国版文化大革命に飛び火すれば、三権分立と法治主義は崩壊する。政権が閉鎖民族感情をあおる国は例外なく政治後進国だ。南北の国家理性の緊張を無視した官製民族主義は、韓国の安全保障を総体的危機に追いやる。経済の失敗と国政の乱れを隠すための文在寅政権による官製民族主義が国を滅ぼす。「我ら同じ民族同士」の国粋主義的民族主義が、歴史に対する反動でないわけがない。今こそ植民地コンプレックスと永遠に決別する時だ。】
日本には、過激な反日報道ばかりが氾濫しているが、韓国の最大新聞は、極めて冷静な分析を報道し、それを受け止める知的な読者層が韓国人の多数派を占めることを日本人は知るべきだろう。
日本でも安倍晋三と日本会議の右翼行動ばかりが海外で報道されれば、間違った日本人観を、海外で抱かれれてしまう。
文在寅の行動をもって、嫌韓感情を抱くのは私も同じだが、それが韓国人の良識ではないことが、この記事から理解できる。感情に煽られることなく両国民の良識を信じて行動したいものだ