辺野古移設反対の民意を聴け
沖縄県民投票結果は、辺野古移転反対が賛成を4倍近く上回る圧勝だった。だが勝ったがなぜかむなしい。安倍政権が民意を無視しているからだ。
投票率 52.48% 有効投票総数60万1888票
移設反対 37.65% 43万4272人(72.2%)
移設賛成 9.96% 11万5933人(19,3%)
どちらともいえない 4.57% 5万2782人
先ず投票率52.48%だが、直近2回の衆議院選挙((52.66%、53.68%)と比べても変わらぬ低い数字だ。
ところが沖縄自民党県連は、「今回は(投票率が低く)反対は総有権者の37%で、それでも民意と言えるのか」と悔し紛れに批判する。
それなら前回衆院選の自民党得票率は、有権者数の25%で、低投票率と小選挙区制のおかげで6割を超える圧倒的な議席を確保した。
安倍晋三は選挙で国民の支持を受けていると胸を張るが、沖縄自民党流に云うならば、「投票率が低く自民党支持は総有権者のたった25%で、それでも民意と言えるのか」と自らの親分・安倍晋三政権にツバを吐く話である。
投票率が低いのは、今回の沖縄に限るものではなく、直近の国政選挙でも同様な数字だった。特に安倍政権になってからの投票率の低迷が目立ち、その理由は、<政治への不信><諦め><政治への無関心>だとされている。
今回の沖縄でも、選挙前から菅官房長官は<どんな結果でも、辺野古移転は変わらない>と選挙を無視する発言を繰り返してきた。これが沖縄県民の半数近くが<投票してもムダ>だと投票を諦めさせた原因である。
安倍政権になってから進行する<政治的無関心(アパシー)>は、もともと<伝統的に政治に無関心な層>に加えて、<政治そのものを軽蔑し否定する><政治に期待したものの、幻滅を感じて政治への関心を失った>国民が増加したためである。その原因と責任は、与党にも野党にもある。
云うまでもなく、国民主権とは、<国民の民意(多数決の総意)で国の政策は決定する>という絶対的な法則である。
本来なら古代ローマのように、全ての重要事項は国民の直接投票で決せられるべきだが、便宜的な代議員による間接民主制に置き換えられている。
故に一番重要な憲法改正は、現在でも国民の直接投票に諮られ、総投票数の過半数を超えれば憲法改正が行われる。今回の県民投票は、直接民意を問う憲法改正と同じ方式で、拘束力はないが、政治家には無視できない結果だ。
今回は、有効総得票数が60万1888票で、賛成票が43万4272票。辺野古移転反対の得票率は71.7%と圧倒的な沖縄県民の民意が示された。
それにも関わらず、安倍晋三は民意に逆い、辺野古の埋め立て移転は続行すると明言した。よくも「沖縄の民意を真摯に受け止める」などと。、ヌケヌケと口から出まかせを云えるものだ。安倍晋三は、民主主義のイロハも知らぬ暴君で、ヒットラーにも負けない独裁者である。
では、民主主義国家の真のリーダーならどうするか?
⓵沖縄県の民意を受けて辺野古移転工事をただちに中断する。
②海兵隊基地の新たな移転先(国内外を問わず)の日米協議を申し入れる。
③日米協議ができないなら、衆院を解散し辺野古移転の是非を全国民に問う。
自分勝手な理屈で国家権力をふるうのではなく、民意に従った政治を行うのが民主主義国家の政治家の使命なのだ。
そもそも海兵隊とは何か?
どんな役割で沖縄に基地を持つのか?
沖縄に置かねばならぬ必然性があるのか?
私を含めて、まともに答えらえる日本人はいるだろうか。
海兵隊は、陸軍のような常駐部隊ではなく、海軍に属する機動部隊で、海外の戦場に送り込まれる斬り込み隊の役割のようだ。だから普天間にも移転する辺野古にも常駐するものではなく、時々飛来し、訓練する基地らしい。
沖縄を専守防衛する部隊でもないが、第二次世界大戦の沖縄攻撃の占領の名残で駐留基地がとどまっている。
⓵では沖縄に海兵隊の基地が無ければならない理由は何か?
②何故、在日米軍基地の7割も沖縄に駐留しなければならないのか?
③治外法権の米軍基地は沖縄県民の安全を脅かしてきた。なぜ<日米地位協定>改定をアメリカと折衝しないのか?
以上の3点を日本政府は、明確に解りやすく国民に説明しているだろうか?
その上で、過大な基地負担を沖縄だけに負担させる理由を沖縄県民に納得いただいただろうか。
また米軍基地が縮小不可能で、現状を維持する必然性があるなら、本土を含めて基地負担をなぜ平準化できないのか?その努力を政治はしているのか?
安倍晋三が国民の民意を真摯に受けとめているなら、先ずは沖縄県民に解りやすく説明する責任がある。
国防が再優先事項で、自衛隊を憲法にまで加えたいなら、安倍晋三は先ずは沖縄に飛んで、沖縄県民が納得するまで説明責任を果たすのが国家のリーダーたる政治家ではないのか?
それもせず、<普天間の危険を除去するために、辺野古移転は絶対不可欠>では、沖縄県民は納得できないのだ。
沖縄県民の不満に日本人全体が耳を傾け、解決しなければならない問題である。
沖縄県民の民意は基地の縮小につきる
普天間の代替に辺野古を提供することではない-そこが理解できないから安倍晋三は議論が空回りし沖縄と対話できない
だがいくら期待しても・・・安倍晋三のオツム程度では、これ以上を<真摯に>求めても納得できる答えも行動も期待できない。
沖縄県民ではないが、私だって安倍晋三には我慢の限界に達している。
来る参院選挙では、野党への政権交代は時期尚早で無理だが、せめて安倍内閣を総辞職に追い込むだけの痛打を浴びせたい。
それには立憲民主党の大躍進だけが希望の綱である。
(補足)
憲法学者の小林節慶応大学名誉教授は、憲法95条から、政府は直ちに県外移設を始めねば憲法違反だと指摘する。